お魚でも何でも燻せば香り高く美味しくなる 不思議な調理法は燻製!

お魚でも何でも燻せば香り高く美味しくなる 不思議な調理法は燻製!

釣りたてのお魚だけではなく冷凍保存していたお魚や、チキン、ゆで卵、ちくわでも何でも美味しくいただけるようになる調理法が「燻製」です。もちろん、サラダに入れても、オードブルでそのまま食べても美味しいスモークサーモンも燻製です。

ワタクシ、燻製は大好き。家でも燻製作るのです。

今回も燻製の豆知識から始めたいと思います。

■燻製はどんな料理

今や、美味しさの追及の一つで「燻製」という調理法の選択がありますが、元は保存ということを目的に受け継がれてきた調理法です。

塩漬けして、浸透圧により食品中の水分をぬき、続いて塩抜きをしたうえで、乾燥させ、そこに燻した煙(スモーク)をまんべんなくつけていくというのが燻製です。

腐敗の原因となる水分を抜くことで長期保存が可能になり、さらに煙により虫などの害からも食品を守って食品の長期保存が可能となります。

■燻製の歴史

なんと1万年以上前の石器時代にはすでに燻製の原型となる調理法がありました。石器時代になると狩猟してくる獲物の量も増え、食べきれない分を保存するということになりました。

ただしそのころは天日干しといった程度のものだったのですが、人類が火を使いだしたころから変化がみられるように。干してあったものが、たまたま火による煙に燻されたのでした。そしてこの燻された食料品はさらに保存度が増したことに気が付いたのでした。

そしてローマ帝国が世界を支配していたローマ時代。

約2000年前現在のドイツ周辺に居住していたゲルマン民族が食料品を塩漬けして長期保存しており、この保存方法と燻製が融合し、現代の燻製へと発展していったのです。

ドイツには今でも塩漬け保存の文化が残っており、ドイツの首都ベルリンの伝統料理である「アイスバイン」は、豚の骨付きすね肉を何日も塩漬けして、玉ねぎやセロリといった香味野菜やクローブの様なハーブと一緒にに煮込んだ料理です。またこの「アイスバイン」や「ソーセージ」の付け合わせとして有名なザワークラウトも、日本ではキャベツの酢漬けのように言われていますが、キャベツをハーブとともに塩漬けし乳酸菌により発酵させたものです。ドイツ版ぬか漬けやキムチといったところですね。

このアイスバイン、大学生の時に鎌倉の由比ガ浜にあるドイツ料理レストランで食べて家でもよく作っていた料理です。

さらにこののちヨーロッパでは東方で採取されたスパイスをはじめ、高価なスパイスを味や効能により料理に使うようになり、燻製における塩漬けの過程でも取り入れてきたのでした。

ちなみに皆さんが良く知る食品でスパイスをたくさん使って何日も塩漬けしてから燻製にするには「ベーコン」があります。

■燻製の種類

さて「燻製」といっても、「熱燻(ねっくん)」「温燻(おんくん)」「冷燻(れいくん)」と三種類の種類があることはご存知ですか?

漢字を見れば想像しやすいですね。

そう、種類は、食品を燻すスモークの温度により変わるのです。

①熱燻(ねっくん)

熱源に近い高めの温度で短時間に食品を燻します。

出来上がりは香ばしい香りが広がり、短時間での調理なので食品の脂分も残りやすくジューシーです。

現在家で私が作るのはこの熱燻のスモークになります。

②温燻(おんくん)

市販のスモーカーを使ってするものはこの温燻のスモークが多いです。

スモークの温度は30~80度程度で、幅はかなり広い(要は熱燻と冷燻の間)で、モノによって1時間から6時間程度かけて比較的高い温度でジックリと燻します。

ベーコンやハムを作るのはこの温燻。

程よく水分も抜け、ジューシーというより凝縮されたうま味が出てきます。

昔は一斗缶を使って作っていました。もしサラダオイルやキッチン用洗剤などの一斗缶が入手できるのであれば、上を外して、そこに菜箸を渡して、食品を紐でつるして、底にスモークチップを。蓋はアルミ箔で十分です。適宜穴をあけてスモークを少し逃がすようにしてください。結構煙るので屋外で、ガスコンロを使ってスモークするのが良いです。

③冷燻(れいくん)

スモークサーモンはこの方法で作られます。

熱源で煙を作り、それを長い通路上のトンネルなどを通して冷ましてそのスモークをあてます。

スモークの温度は室温程度、数日から数週間かけて燻します。

一般家庭ではかなり難しいです。

■タチウオを燻製にする

とここまで長い前置きがあり、今回はタチウオの燻製を作りました。

①タチオウは三枚におろして、3%程度の塩水に一時間漬けます。3%程度の振り塩でもOK!その場合、表面をラップできちんと覆ってください。

②流水で塩抜きします。10分位。もし丸のままのニジマスを一晩塩漬けしたというような時は1時間くらいの塩抜きが必要になります。

③水けをふいて1日干します。

④中華鍋で簡単にできます。

用意するものは

・中華鍋 2つ もしくは中華鍋1つに同じくらいの径のボール1つ

・網

・アルミホイル

・スモークチップ ヒッコリーなどは代表的です。他に桜やウイスキーの樽のチップなどお勧めです。

ホームセンターなどで小分けされたスモークチップも売っています。

⑤中華鍋にアルミを巻きます。火にあてる方は、アルミを敷くだけでOK。

その上にスモークチップ(ミックスすると複雑になり良い)に香りづけの足しに紅茶を置きます。

そしてこれが重要、スモークチップ一握りに対して大匙1杯くらいのザラメ(なければ上白糖やグラニュー糖でも可)を混ぜます。

燻製した際の照りと香りをつけるために糖分を忘れずに混ぜて下さい。

砂糖が多すぎると、カラメルになりかたまり、うまくチップが燃えない原因になるので注意です。

⑥網を置きます。

その上にタチウオを並べて、ガスに火をつけます。煙が出るまでは強火、それから中火で。

⑦煙が出てきたら、もう一つの中華鍋あるいはボールをアルミで覆って蓋にして燻します。

⑧全体に色づいたら完成

つやがあります。

表は燻されたアルミ箔と一緒。

お酒におつまみに最高!

干物の焼魚と同じようにご飯で食べても美味しいです。

■スモークタチウオのサンドイッチ おススメ料理です

①マヨネーズにマスタードを混ぜます。今回はカシスマスタードを使ったのでほんのりピンク。

②パンにマスタードマヨネーズを塗ります。

③きゅうりを薄切りにしてトーストしたパンに並べます。

④スモークタチウオをのせます。

⑤もう一枚のトーストでサンドしてラップで包んでなじませます。

⑥カットしていただきます。

道具は家にあるものばかりで、スモークチップさえあれば簡単に作ることができる熱燻です。100均などでも道具は揃えられます。

他の魚やキチンなどでもぜひお試しください!

※以前作ったワカサギのスモークはこちら→「ワカサギ2018:高滝3回目 クリスティアで400超」